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ASUKAHAYASHI INTERVIEW

〈NEONSIGN(ネオンサイン)〉×〈STUDIOUS(ステュディオス)〉COLLABORATION
STUDIOUSにて2019年秋冬から取り扱いを開始し瞬く間に、人気ブランドとなり、今回初のSTUDIOUSコラボレーションも実現した「NEONSIGN」。
ブランド設立10年という節目を超えて、その先に何を見ているのかを、デザイナー林飛鳥氏本人に聞いた。

NEONSIGN×STUDIOUSコラボレーションルック
まず、ブランドを始めたきっかけから教えてください。
ブランドを始めるのは中学校2年生の時にもう決めていたのですが、すぐにブランドを始めたわけではなくて、一回就職してすぐに退職して、そこからすぐに始めました。
NEONSIGN×STUDIOUSコラボレーションルック
中2の時にブランドをやろうと思ったのは何故ですか?
あるデザイナーに憧れてっていう感じですね。
そうなんですね。服を好きになるきっかけをつくってくれた人はいたのでしょうか。
兄ですかね。兄が裏原系を当時かなり着ていて、それを売ってもらって着たりとか、兄弟間での服の売買や、賭事で服を取り合うことが日常的でしたし、小学校の時から買い物に付いていって何か一緒に買ったりとか。
NEONSIGN×STUDIOUSコラボレーションルック
小さい頃から服がずっと好きで。
そうですね。
ブランドを立ち上げてどれくらいたちますか?
今年で11年目に入ったところです。
11年を振り返っていかがでしょうか?
時が経つのは早いなって思います。 7、8年目ぐらいで、子供の頃からの目的は達成した感じはあって、肩書きとして「デザイナー」を名乗っても良いかな。と思えるくらいにはなりました。
この2~3年間は半期に一度の定例コレクション以外も色々とトライしながら、去年10周年をやった時に10年を振り返って、これじゃあちょっと世界に通用しないなと感じたので、自分自信の目的ではなく「NEONSIGN」として世の中に何ができるのか。を考えた上で全体のパッケージを見直しました。
具体的にはどんなことをされているのでしょうか?
主に目的地の軌道修正を行いました。 元来のブランドコンセプトであった「THE PURSUE OF CLOTH ARTS/布芸(ふげい)の追求」を通して『自分の色でいられる社会を作る』ことを目的地としました。
僕自身、デザイナーという立場としては「マイノリティを照らす」役割りを担うことを考えています。
NEONSIGN×STUDIOUSコラボレーションアイテム
  
コンセプトはどのようになったのでしょうか?
「"MMMMMMWMMM"」です。読めないですよね。言葉は良くも悪くも全てを支配してしまうので、ブランドや自分自身の体現する手段として、コンセプトそのものを”記号化”しました。
意味合いとしては、「自分が多数派の側にいると気付いたら、もう意見を変えてもいいころだよね」って意味です。
この表現方法は、コンセプトそのものを記号化することで、言葉に支配されることはなくなり、管の中に入れる気体の種類により 色が変わる「ネオン管」の構造特性同様に、コンセプトも自由自在に変わりシーズンごとに変化するNEONSIGNのコレクションと共鳴していきます。
例えば、
"MMMMMMWMMM"~WHENEVER YOU FIND THAT YOU ARE ON THE SIDE OF THE MAJORITY, IT IS TO REFORM.~「自分が多数派の側にいると気付いたら、もう意見を変えてもいいころだ」

”OOOOOOAOOO”~ANARCHY IS THE MOTHER OF ORDER~「無秩序こそ秩序の母である」

"□□□□□□■□□□" ~I WANT TO BE AN UGLY DUCKLING~「僕は醜いアヒルの子でいたい」
と記号化すると、表現方法は違うけど、言ってる内容は同じだよね。
自分のやりたい事や、時代に合わせて表現する手段が変わるのは、ごく自然なことな気がするし、「noisy minority, silent majority」主張する少数派、発言しない多数派っていう表現があるけれど僕自身アパレル業界のデザイナーとしてできることは「少数派を照らす」ことで世の中に良い作用を生みたいと考えています。
常に少数派ということですね。
そうですね。ただ少数派だけがクールだとは思わないし、多数派に認められている一般理論にも素晴らしいものは沢山あると思う。ただ、それが本当に正しいのか、自分自身で判断していきたいと思いますね。
大人になって気付いたけれど、僕は子供の頃からモノゴトに対して自然と少数派になってしまうものを選んできていました。そのせいで、社会に上手く適合できないことや、一般理論を正義とした大人から「白い目」で見られることも多々ありました。
昔も今も変わらないけれど「自分は間違っていない」と思う。笑
類は友を呼ぶじゃないけれど、だからこそ、少数派の照らすことで『自分の色でいられる社会』を作り、少数派を多数派へと昇華していきたいと考えてます。
一般的な社会のルールがあることで、何かを制限された嫌な経験っていうのは誰にでもあると思うし。
自分に似た人がいるのであれば、一緒に作ってる仲間やユーザーと共に新しい常識を作りたいなって思います。
NEONSIGN×STUDIOUSコラボレーションルック
   
なるほど。「NEONSIGN」のコレクションは毎回内容が変わる印象があります。それも関係あるのでしょうか?
コレクションは「販売目的」ではなく「問い」で在りたいと考えているので、毎回内容が変わるのは僕にとってごく自然なことです。
変わることで、まわりからは煙たがられることもありますが、今期のコレクションアイテムがカッコいいとか可愛いとか、そんなことは正直どっちでもよくて。笑
もちろんデザイナーとして各アイテムを「より良く」するために最善は尽くしているけれど、「こんなの作ってみたけどどうかな?」ていう軽いノリが強いです。
その軽快さこそファッション業界特有の面白さだと思うしファッションにとって重要な部分だと思います。変わらなかったらファッションをやる意味がないと思う。
NEONSIGN×STUDIOUSコラボレーションルック
    
素晴らしいですね。すごく販売先の「現場」を大事にしてらっしゃる印象があるのですが。
実際に販売する人たちのテンションがやっぱり一番大事ですからね。
NEONSIGNの出した「問い」に対し、「答え」を出してくれるのは、現場にいるスタッフさんだと思うし、僕は服を作ること以外何もできないので、頼りにしていますね(笑)
     
ありがとうございます。そういってもらえると僕らも嬉しいです。
次に今回の別注アイテムのポイントやアイコンラインに込めた思いというか、そういった部分のお話を聞かせてもらえますか?
アイコンラインを作った理由としては、自分が変わり過ぎるから。多分だけど、変わる速度が他の人よりめちゃくちゃ速いんです。
アイコンラインは、ブランドとしてのマーキングももちろんあるけれど、変わることや、自分の意思で変えることはファッションにとってとても重要なことだと思います。
なので、シーズンやアプローチ方法などによって、アイコンラインの色や姿形は変わっていきます。
今回の別注アイテムでは、2020AWの本コレクションのメインカラーである「レッド」と「エメラルド」を起用しました。
NEONSIGN×STUDIOUSコラボレーションルック
  
今回の別注では非常に特徴的に使って頂いてますね。次の秋冬のコレクションで初めて発表されるものでもありますよね?
そうなんです。都内の他のセレクトショップは同じ「NEONSIGN」は売っているんだけど、各店で「NEONSIGN」のスタイルや提案方法というのがちゃんとあるから、それを早い段階でSTUDIOUSにもつくってもらいたかったので提案しました。
元々、アイコンラインというのをちょうど考えてはいたから、そこに合わせて別注を使って同時ローンチできれば面白いかなと思いました。
   
別注のボトムについてですが、「NEONSIGN」で継続して人気のあるデニムの形をデザインに取り入れて頂きましたが。
そうですね、5ポケットを当て込んでいます。テーパードの効いたシルエットで、僕自身、大好物のシルエットです。
この形は子供の頃からいろんなブランドのものを買い漁り、履き比べした結果の集大成でもあるのでユーザーの皆さんには是非、トライしてもっらいたいアイテムです。
NEONSIGN×STUDIOUSコラボレーションルック
   
すごく素敵なアイテムに仕上がったと思っております!是非次シーズンのコレクションテーマもお伺いしたいです。
テーマは「CHAOS PANIC」 秩序なき状態(CHAOS)から創造し「前後のルールがない」わけの解らない状態(PANIC)を創りだすことで一般理論を破壊し 一人一人が「変わる」ことを恐れないファッションを再構築するためのコレクションです。
今回のコレクションアイテムの中で、よりコンセプチュアルなものは前後どちらでも着ることのできるスイッチシリーズを発表しました。
ワンアイテムを着る上で前後っていう選択肢があることが今回のコレクションの「問い」であり本質です。
今まで前だと思っていたのが前だと思えば、それは前でいいと思う。でも、後ろが前でもいいじゃんって思う人がいたら、ファッションを楽しむきっかけにはなるよね。
   
ありがとうございます。コレクションの立ち上がりを楽しみにしてます。

デザイナープロフィール
林飛鳥(はやし・あすか)/「NEONSIGN」デザイナー
1985年4月11日、富山県生まれ。2007年に文化服装学院を卒業後、アパレルブランドを経て自身のレーベルで服作りを開始し、09年にメンズブランド「NEONSIGN」を立ち上げる。17-18年秋冬シーズンにはウィメンズをスタート。