soe ディレクター
インタビュー
東京のファッションシーンを牽引し、東京的なリアルクローズを発信し続け、STUDIOUS でも絶大な支持を誇るブランド soe(ソーイ)のディレクター伊藤壮一郎氏に STUDIOUS バ イヤー熊沢がインタビュー。 今季のテーマや伊藤氏のスタイルなど、ブランドのルーツやオリジナリティを紐解きつつ、 おすすめの着こなしや毎シーズン行なっているコラボアイテムについて語り合う。 同氏らしいラフで穏やかな会話を楽しみながらご覧ください。
(soeディレクター伊藤:以下略)
春夏はアバディーンってグランジの街のハイスクールがテーマ、要するに簡単に言うとカート・コバーン。笑カートの解釈というかテーマにするってあまりに重い、というか簡単じゃなくてSOEとしてやるなら、スクールウエアかな?というのがあって。カート・コバーンが通っていた学校がある街がワシントン州のアバディーンというところなんだけど、そこの制服、ユニフォームを題材にしたの。
だからブレザーとかがあったんですね。
そうだね。
基本はでもユニフォームだから、SOEは。やらせてもらっているセットアップなんかもそうだけど、基本的には制服っぽい感じ。
僕らもこのセットアップはよく売れています。
てか、こういう感じでいくの?笑
超ラフでいいんです。伊藤さんらしく。
じゃそうしよ
このパンツももう何年やってるんですかね? 笑
何年やっているんだろうね。
多分もう 3 年目ぐらいですかね?
そんなになる?
多分。全然自分は記憶にないんですけど。
これは実際、SOEで持っている型がベースになってるんですよね?
違うよ。もうSTUDIOUSオリジナル。 今まで作ってきたものの中で一番裾幅も細いとか、STUDIOUSのお客さんをイメージしてだいぶ調整は入れているけど、あくまでベーシックな考えをキープしてる。割とスラックスのパターンはいろいろ作っているけど。これは一番クセがないというか、どんなスタイルや体型にも合うようにっていう感じじゃない?
本当にすごいんですよ。 サイズのレンジを増やしたのもあったんですけど、うちのオリジナルの商品より売れているんですよ。笑。
履いてもらったら分かってもらえるかな。SOEはやっぱりスラックスの作りやいろんなバランスにこだわっていて、結局自分が好きなんだよね。だから要はそういうスラックスって言っても定義って難しいんだけど、いわゆるカジュアルなスラ ックスなんだけど、ワークスタイルじゃないし、英国っぽいやつでもなくてね。 クラシックな作りをするんだけれど、それをあくまでも街着的に仕上げるっていうのが多分うちのスタイルではあると思うんだけど、絶対履いたらなんかいいよねっていう、ここは理屈にするの難しいんだけど、そこはやっぱり狙いたいんだよね。
でも、本当にそうですよ、これ。履いて頂いたお客様みなさま感動されます。
それをすごく狙っているよ。どんなスタイルや体型の人が履いて満足してもらえるパンツ。そういうふうなところにちゃんとパターンが出来上がったんじゃないかなと思う。
だし、スタイルを本当に選ばない強さが多分あるから、それが多分いろんな方に受けるんだろうなっていう。
そうだね。
今期はこのミントグリーンがすごい良くて。これはけっこうナイスな色の選択でしたね。あともう一方のあっちのジョーゼットの方なんですけど、これは逆にどうやって生まれたんでしたっけ?
ジョーゼットのパンツは、僕らがイージースラックスって以前から出してるスタイルがあって、さっきのパンツがこういう割と硬い生地で、なのでもう一つは楽にはけるというので作ったのがこれ。
どうしてジョーゼットだったんでしたっけ?
昔からポリを使う理由というのがあって、個人的に好きでずっとやっているんだよね。 昔あるメゾンブランドで女性物だったんだけど、こんな生地のやってて自分で擦り切れるほどよく着てたの。それがベースなのよ。フィッティングは全然違うんだよ。しかもポリエステルだと全然しわにならないわけ。 でもちょっとモード感というか、なんかクラシックになり過ぎなくて、自分のスタイルにはよく合ったわけよね。ちょっとダサくて。
その伊藤さんの私物っぽい感じですもんね。
そうなんだよね。なんかゆるっとね。 シャツでもないしジャケットでもないし、みたいな。
はい、分かります。
だらしないんだよね。あとちょっと無頓着に見えるのがちょうどいい。
伊藤さん的にはかっこつけ過ぎない方がらしいですよね。すごく。
なんか照れくさいんだよね、ちゃんとして見えるのが。だからその辺のあんばいはすごく気を遣っている。 スラックスにしてもそうなんだけど、あんまり硬くなり過ぎないように、ちゃんと見えすぎないようにはしたいよね。
それが今はみんなの空気に合っているんでしょうね。 多分、ぱちっとキメ過ぎたくないし、でもちゃんとしたいし。
余裕を感じてほしいんだよね、着て。 頑張って着ています!じゃなくて。 すぐなじんで、自分の物としてすぐ落ちて女性ってそういう男が好きでしょ?笑 べつに好きじゃないか笑
はい、まさに。あとは例えばお勧めの合わせ方なんかもあれば。 何か着方的に伊藤さんとかが「こういう着方だといいんじゃないか」っていう提案をいただきたいです。僕らの店の提案とはまた変わってくると思うので。
俺の提案はダサいよ、笑
教えてくださいよ。笑
簡単に言うとダサい。
そんなのでいいの?
是非。
セットアップを着るじゃない? 例えばシャツを着るじゃない? シャツはアンダーウエア無し。
もう素肌ですね。
そう、一応。
それを適当に着こなす。 ラペルなんかもたっちゃっていいの。襟も基本的にはあんまり自分は返さないの。 だから、返り線を割とプレスかけるスタイルっていうのはうちほとんどやらないんだよね。
それ伊藤さんの着方ですね。
もう適当だよね、適当に着るっていうのが一番合うのよ。もうそれで完成だよね。
だから、シャツを着ていても適当に着ているふうに見せたいということですね?
うん、でもこのセットアップのインナーとしてシャツ襟とかも 1 個出ちゃってたりとか、1 個つぶれちゃってたりとか、そういうことでいいんだよね。だから、ちゃんとしないでくれ っていう感じ。タイをしてもいいんだけど、タイも適当に第一ボタンを開けて、ノット が下にきちゃってちょっとゆがんでいるぐらいの感じとかで合わせがいい。
それがめちゃくちゃかっこいい。
とにかく、ちゃんと作らないでって思う。 作り過ぎが一番照れる。昔からそうだった。 選ぶのもいつも同じだし。 髪もぼさぼさだし。いつも。笑
それがかっこいい。だからいいんだよな伊藤さんって。 ぜひ伝えてほしい。
それが自分の基本だな。
素敵なお話ありがとうございます。
1977年、東京生まれ。高校卒業後にロンドンへ留学。98年に帰国後、大学に通う傍ら独学で服作りを始め在学中にSOEを立ち上げる。2004-2005 SSより東京コレクションデビューをし、2015FWよりSOEのディレクターに就任。2016-2017FWにはSOE WOMENをスタート。
1986年、神奈川生まれ。
STUDIOUS MENSバイヤー
(STUDIOUSバイヤー熊沢:以下略)
早速、今期のコンセプトを伺ってもいいですか?。