STUDIOUSが注目するアップカミングブランドを取り上げる本コーナー。 第二回は、SYU.HOMME/FEMM(シューオム/フェム)を手がける、小野秀人氏へのインタビュー、後編。
前回では、小野氏の“惜しみなく、良いものを”という、モノづくりへの姿勢とヒトとの繋がりによるモノづくりを伺うことができた。 今回は、今後のブランド・デザイナーとしての展望と、日本のファッション業界への想いを語ってもらった。
第1回インタビューは こちら
ブランドの展望として、海外進出はやはり念頭にあると語る。「自分は、自分の作る洋服やブランドが持つ“想い”をもっと多くの人に発信していきたいです。 そして海外展開で自分が挑戦したいのは4大コレクションの中でもPARIS。もちろん現実は甘く無いと思いますが、一度海外での評価を良いも悪いも体感したい。」
しかし、「自分にはまだ自信がない」と同氏は続ける。 「とにかくまずは日本でしっかり結果を出しつつ、アクション起こしながら着実に経験値を積んでいき、まずは沢山の方々にブランドを知ってもらうことが大切だと考えています。 自分も、お客様と同じフラットな目線でいて、本当に自分が世の中に提案したいもの、又は着たいものを作り続け、ファンを地道に確保していけば、必ず日本のトップブランドの仲間入りが出来ると思うんです。」
「現に、ブランドを設立して今季で丸4年経つんですが、有難い事に、業績は順調に少しずつ伸びていっているので、今やっている事、今の方向性は間違いでは無いのかなと」笑
「僕は”先輩デザイナーを揺るがせる存在になりたいし、先輩方同じ土俵に立ち、日本を代表とするブランドになりたい。”」
これからのブランドの在り方は、ブランドとお店、そしてお客様がフラットな関係値であるべきなんじゃないのかというのが小野氏の考えだ。
物事をフラットに見る姿勢は当然、ブランド同士に於いても当てはまる。
「お客様からすると僕も先輩方も関係なく、どのブランドも一ブランドですし、店頭では対等だから」と言う。 そんな小野氏が次に狙う先は、東京の洋服のコンクール。「TOKYO FASHION AWARD」このコンクールにて、受賞をすると海外進出を支援してもらえる。
半年毎に新しい事に常にチャレンジをし、着実に目標実現までの距離を縮めていく。
「目標に対して、スピード感を持って行動する。これは非常に重要だと思っていることです。
時間を遣っているというのは、自分の命を削っているのと同義。 ブランドを継続してコレクションを見せていくのは並大抵の事では無いし、あと何十年かしたら、今の様なスピードのある動きが出来なくなる。
日本だと、新しいブランドが出来ても、日の目を見ることが出来ずに倒産してしまうことなんていくらでもあるから。 死ぬ気でやって、素早く結果を出していかないと未来は無いかと、、、」
日本は若手のファッションデザイナーにとって厳しい国である。
「AMAZONが主催する「AT TOKYO」というそのシーズンの、日本代表を決めてその為の予算を負担してくれて、4-5ブランドが日本でファッションショーをする。 切実にそれに僕は出たい。。。でもそれには知名度。そして圧倒的なブランド力が必要。」と同氏は話す。
「SYU.はブランドとしてまだまだですが、、、、いつかやりたいなと願っています。 ただ、出たいと言って出れるものじゃ無いので。相応のブランドになれるように地道に頑張ります。」
海外でいうとパリやロンドンといったファッション都市に比べると、やはり日本はまだまだファッションには関心が低い。 アジア圏で近くだと韓国では、ファッション産業に対して資金が出ることがある。それは国のPRとして国にとってメリットと考えそれなりに経済効果が出ると考えているから。
日本はまだそういうのが無いですよね。 東京のファッションウィークとか、ファッションショーを入場費をとってでも、一般観覧を可能にした方が良いとおもいます。 何故なら若いデザイナーで繋がりの無いデザイナーは、見る機会なんか与えられない。関係者じゃないと見れませんから。
実際見れるのは、インフルエンサーだったり、著名人、関係者のみ。 もし入場料でも取って、誰でも見れる事が出来るなら若い世代だったり、服飾学生だったり若い世代、若いデザイナー達もランウェイに対して関心を持てるのに。 先ずは、そうでもしないと、いつまでも日本のファッションウィークは普及されない。
あとファッション業界自体も、もっと無名のブランドだったり可能性がある若いブランドをフックアップしたりとか、 ファッション業界に夢を持てる環境があればいいのに・・・と僕は思います。」
「あと最近、印象的な事を耳にしました。 海外の某有名セレクトショップのトップセールスであり某有名ブランドのパタンナーだった方が、後輩が働くアパレルのお店に彼のInstagramを見て来店したらしいんです。 その人は”日本で何かいいブランドを無いかな?何を見たら良い?”
そして後輩が、ある日本のファッション雑誌を見せたらしく、、
“?????。。海外ブランドしか載っていないじゃん。何を見れば良いんだ? 今日本のブランドを探してるんだ。日本の雑誌なのに何故海外のブランドしか載っていないの?” と言っていて。
言われるまで考えた事もあまりなかったですがそう言われてみればそうだなと思いました。」と同氏は言う。
「確かに僕達に少しの可能性を与えてくれる雑誌社だったり、メディアが本当に少ないかもしれない。 でも、逆にこれってチャンスなのかもと思いました。まだ知られていないってことは、海外に行けば、海外で展示会をやれば少しでも可能性、勝算があるって思いました。」
「日本のバイヤーもメディアも、何がダサくて、何がカッコ良いのか理解出来ていない。 それすらも過去の世代が積み上げてきたイメージが刻まれてしまっているのではないか。 僕自身が考える今後のブランドの在り方は、根本の部分はブレないけど、時代や時間軸に合わせてどんどん変化していくっていう、そういうので良いと思う。
SYU.HOMME/FEMMは“今”という風が吹いているブランドにしたい。 一過性のものじゃなくて、その時代に流れている空気を表現するような。 同じものを作った時点で“過去”に囚われてしまうから。なのでSYU.は2018awから、よりコンセプチュアルにテーマを設けてそれも軸に更に関連性を付けながら、 一つの物語を作るように様に心掛けている。」
ジャンルに嵌らず、自由な感性で“今”を表現するブランド、SYU.HOMME/FEMM。
ブランドと小野氏の今後の展開に引き続き注目したい。
INFORMATION
SYU.HOMME/FEMM OFFICIAL INSTAGRAM:@SYU
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